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子供と教育(最終更新:2004年1月)


チャイルドアビュースと学校の送り迎え

 米国に来て、注意しなくてはならないことのひとつにチャイルドアビュースがある。
http://www.ff.iij4u.or.jp/~narita/edu/edu4am.htm
12歳にならない子供を一人にしてはいけないのである。だから、子供に対しての扱いは気をつけないといけない。通りなどで、自分の子供だからといって、たたいたり、したら通報されかねない。どこかの州では「子供の手を引いて歩いていなかった。」と、いうだけで通報された事例があるとも聞いている。寝ている子供を置いて、隣の家にお茶を飲みに行っても、犯罪である。通報されれば、罰金・裁判ものだ。

 こういう話も聞いた。ある日本人が自分の子供がぐっすりと寝ているのを、いいことに車の後部座席に寝かせたまま、駐車場に置いて、ちょっと買い物に行った。ところが帰ってきたら、子供は警察に「保護」されていて「無事だった」という話である。子供をあとで引き取るには自分の身分を証明したり、子供との関係を証明する書類(パスポートなど)を用意せねばならず、大変だったそうだ。日本では夏、パチンコ屋の駐車場で一人残された子供が脱水症状を起こすという事件が未だに後を絶たない。アメリカでは重罪である。

  だから通学も小学校5年くらいまでは親がかならず付き添って、学校まで送り届け、また迎えにいかなくてはいけない。この辺りは最近物騒な日本も見習ったらいいかもしれない。

  だが、小学校の登校時や下校時は学校のまわりが騒がしくなる。車で駐車場所を確保するためにあらかじめ時間を早めに家をでなくてはならないのである。我が娘の近くの小学校は学校の前が比較的広い、住宅街の中にあるにも関わらず、上下の車線が広い中央分離帯で分かれている。上下とも3台くらいの車幅がある。それでも下校時、生徒が一斉に出てくると迎えの車が次から次へと乗り付け、空港ターミナル発着ロビーのような騒ぎである。あちらこちらでクラクションが鳴り、また、それを取り締まるためにポリスの車が警告音を鳴らしながら、近辺を巡回する。すさまじい騒ぎである。

 我が娘は今年めでたく12歳をになったので、法律上は親が送り迎えをしなくてもいいのである。

  しかし、もうひとつ問題がある。かばんの重さ故の話である。

  こちらでは教科書は買う必要がない。学校が用意した教科書を何年にも渡って代々の生徒が使用するのである。これはいいことであるが、一方であまりよくない点もある。書き込みなどができないのである。私などは小学生のころよく教科書に書き込みをしたし、アンダーラインや赤鉛筆でいたずら書きも含めてにぎやかな色だらけになったものである。しかし、米国ではそのようなことはできない。きれいに使わないといけないのだ。少し不自由である。

  そしてである、学校の教科書はでかい。みな、ちょっとした百科事典1冊分くらいの厚さと重さがあるのだ。だから教科書を持ち歩き、学校と家を往復するのは重労働だ。宿題は結構毎日出されるから、学校に置きっぱなしというわけにもいかないらしい。だから、ここら辺りの子供は旅行用のカートのように、車輪のついた背負い子のようなリュックを使っている。教科書や問題集が3教科程度になると、背負ってなど通えないほどの重さになるのである。私も担いだことがあるが大人でも大変であり、「乗鞍」や「白馬」に登山にでもでかけようかという重さである。学校の近くの生徒は歩いて通っている子供もいるが、少し遠くなるとどうしても車が必要になってしまうのである。日本人でこのあたりの不便を学校側に言った人がいるらしいが、答えは「法律、規則が変わらないとはじまらない。」の一点張りだったそうである。

  米国の役所は結構、封建的であり、共産主義的官僚体質さえ感じることがある。

毎日、全米で、「空港国際線ターミナルごっこ」が繰り返されるのだ。


新学期

 9月のはじめ、新学期がはじまる。こちらは9月が学年のはじまりである。そして、その時と時を同じくして、こちらの文房具店、この辺りでは「STAPLES」などの店では新学期セールがはじまる。

  なーーーに、そんなの日本にだってあるわよ。・・・とお思いかもしれないが、こちらは少しスケールが違う。娘が新学期最初の日に行って帰ってくると、文房具の購入リストらしきものを持って帰ってきたのだ。そのリストがすごい、何色のマーカーが何本必要で教科書用のカバーがいくつとか、指定されている。日本ならば、近くの文房具店で自分の思いのままに各教科のノートを一通り買い揃えればおしまいだが、アメリカはそういうわけにはいかない。どういったサイズのどういう文房具が必要であるとことこまかに書いてあるのだ。指定文房具でないといけないらしい。私に言わせれば、そういったことは各自が揃えればいいことであって、学校側が指定して買わせることなどないと思うのだが。

 それで「STAPLES」まで出かけて買い揃えることになる。ところがすごい人なのである。何かお祭りでもあるのか、子供と親が売り場にあふれていて、おおきな買い物カートを引っ張りながら山ほど買い物をしているのだ。
そこまでしなくてもと思うのだが。

 スーパー側はニンマリだろう。ここぞとばかりにもうけるのだ

 もうひとつ、新学期には学校側から書類が何枚も送られ、我々父兄はそれに全部、自分達のサインをしなくてはならないのである。 どういうことかというと、
「学校で生徒が何か凶悪犯罪を犯した場合には警察にその処理を依頼するが、それでもよいか。?」
とか
「子供が学校で、学習に対し、さまたげるようなことをした場合にはこのような措置をとるが、それでもいいか。?」
とか
「とっさの怪我や病気のときは学校で救急病院なりに対応してもらうのだが、父兄がそれを知っていて、子供を学校に送ったのであればその責任はすべて父兄にあることを認めるか。?」
など、ちょっと見るとどぎまぎしそうな文面である。それに署名しなくてはならないのである。

まあ、わからないことも無い。米国ではたまに中学校やハイスクールなどで拳銃を所持していた子供がいたとか、乱射事件とかがたまにあるお国がらである。そのあたりは責任所在をしっかりしておかないと、裁判で学校や先生の側が不利にならないようにあらかじめこのようにしておかなくてはならないのだろう。


注射・注射・注射!

 うちの娘が韓国から、米国に来て小学校に転入するときのことだ。いろいろと学校にはいるのに条件があった。まずは、家族の住んでいる住居の証明がないといけない。こちらは「校区」が厳しくきりわけられていて、隣町から境界を越えて他の学校に通うことがばれると罰金を課せられる。その地区の学校はその地区の税金でまかなわれているからだ。日本でも学区などがあるが、こちらはより厳しい。

 まず、自分の住居がその地域にあることを証明する、不動産会社とのリース契約書を要求される。それとその間取りが問題である。子供が一人でもいたら、少なくとも2ベッドルーム以上の間取りが要求される。

  …ところで、話は少し変わるが、こちらでは日本のように「2DK」などの呼び方は通用しない。大きくはSTUDIO(大部屋がひとつだけ、いわばワンルーム)、2BED ROOM、 3BED ROOM…のように寝室の数で表現される。それで子供が居れば、夫婦の寝室と子供の寝室は必然的に分けることが要求されるわけだ。男の子と女の子が居れば、最低3ベッドルームの間取りが要求されるのである。そうでない場合は「児童虐待」にあたり、悪くすれば罰金、裁判にまで行ってしまうこともあるらしい。

 さてさて、私の娘の場合、それはクリアできたのだが、私の娘の場合は予防注射でひっかかってしまった。米国はこれでもかというほど、予防注射を念入りにし、しかもその証明書が必要なのである。そのようなことを聞いていたので、家内が韓国で母子手帳を見つけるために四苦八苦したり、日本の小学校の保健室にまで電話して、昔我が子が受けた予防注射の英文証明書を取り寄せたりした。そして、さらに韓国にいたときにあらかじめ予防注射をして、英語の証明書も書いてきてもらったのだが、それでもいくつかの条件を満足しなかったらしく、予防注射が完璧に終わるまで約1ヶ月も入学を拒まれてしまった。可愛そうなのは子供のほうだ、2回くらい、小児科に通い、ブスブスと一度に何本も注射を打たれて、ようやく入学が許可されたのである。