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自然と風習、ならわし(最終更新:2004年1月)


りす、たぬき、カナダがん、スカンク、しか、ほたる、カラス

 アメリカに来て、うらやましいと思ったのは自然が豊かなことだ。ニュージャージー州はニューヨークの隣の州で、日本で言えば、東京と横浜のような関係にある。そのニュージャージー州に現在住んでいるのだが、まず緑の多さに驚く。住宅地は道路が幅広く、左右に車が停まっていても相互交通が可能なくらい余裕がある。道路脇には高い木が続く。高さは家の2・3階くらいの高さにまで至る。



NJ州の平原

 我が家は高台にあるのだが、窓から外を見ると森の中に家が点在しているように見える。家と家の垣根も日本のようなブロック塀はほとんどなく、有っても垣根程度である。決してブロック塀は見ることはない。隣の家との境界線がわからないところもある。

 庭がオープンなのである。そして決まって庭には芝生がある。日本のように庭をかこって、うっそうとさせて庭園を各家が持っているのとは多少異なる。こちらの人に聞いたが、アメリカは土地よりも建物に価値があるという。土地よりも建物にかかる費用が高い。そりゃそうだろう。日本の20倍を越える国土に日本の2.5倍程度の人口である。うらやましい。アメリカの庭は芝生である。芝生のない庭など考えられない。というところだろう。どの道路にも家にも屋根よりも高い樹木がある。うらやましい限りである。

 ただし、注意しなくてはならないのは、芝を自分の家だからと伸び放題にしておいたり、雑草が生い茂ったりした状態にしておいてはいけないのである。そのようにしておくと、悪くすれば、近所から役場に通報され、役場から「芝を刈るように」という通達がきたり、罰金を課せられる場合もあるそうだ。

 樹木を粗末に扱っても罰金対象になるらしい。こちらの日本人に聞いたのであるが、ある人が樹木の枝を折ったということで通報され裁判になった。それで判決が言い渡され、その罰則として、その当人には「毎日、一回はその樹木を10分間抱いて、じっとしていること。」などという笑い話のような判決が出たそうである。

 冬も雪が降れば、ただちに自分の家の前の舗道の雪は除雪しなければならない。これも通報の対象となってしまうのだ。私がこちらに来て、びっくりしたのはその対応の早さだ。雪が降ると、あちらこちらでせっせせっせと雪かきがはじまる。雪国、新潟の私にすれば、雪が降っているからといって、すぐに除雪するのはあほだな、と思う。すぐに雨になったり、晴れたり、気温があがって、自然に雪が溶けてしまうかもしれないのに。・・・と思う。だが、人々を除雪に駆り立てるのは勤勉さ、というよりは「通報」されないためというのも大きな理由らしい。
 まったく気の毒な話である。私はまた住居を替わるとしても一軒屋には住みたいとは思わない。雪かき、芝刈り、仕事が多い。

 さて、動物。こちらで、私は散歩をよくするが、いままでいろんな動物に出会った。りす、たぬき、カナダがん、ほたる、果てはスカンクまで。・・・

 リスはこちらではねずみくらいにしか見られていない。だれも注意を払う人はいないが、我々日本人にとっては珍しい存在である。ここらあたりの「りす」は色がねずみ色で日本のシマリスなどととは違いあまりきれいではないが、しかし、仕草などを見ているとやはりかわいい。電線や、木を自由自在に往来している。

 たぬきも何度か、出くわした。あるときは3メートルくらいのところで、目と目が合ってしまった。

 注意しなくてはいけないのはスカンクである。ある朝歩いていたら、道路の反対側からこちら側にスカンクが渡ってきた。私の姿を確認したのか、道路を8分渡りきったところで、体を硬直させ、尻尾を立てた。非常に危険な状態である。私は、「不慮の事故」にそなえ、今まで来た道をいったん戻り、遠回りに歩いてさけたのである。

  こういった、りす、たぬき、スカンクの死骸を道路上によく見かける。日本で見る猫の屍骸ような感じだ。りす、たぬきならばまだいいのだが、スカンクはさすがにこたえるという。スカンクが道路で轢かれると、辺り数百メートル範囲に異様な臭いがただようそうである。

 ニュージャージー、ニューヨークの北部を車で走ると、よく鹿の姿を目にする。夜間走ると、鹿の目がきらりと光る。こちらのカーアクセサリーショップでは車に取り付け、風によって鹿の嫌いな音を出す、鹿よけの笛も売っている。たまに事故があるらしい。

 夏の夕方にはほたるをみかけた。こちらのどの家にもいるようである。芝生からゆらゆらと、マッチの燃えカスのような光が立ち上るのである。たとえは陰気でよくないが、宮崎駿の「火垂の墓」を思わせるシーンである。

 私の通う会社のあるところは環境保護地域にあり、近くに湿地帯が残っている。毎年春になると「カナダガン」の家族をみかける。カナダガンはガチョウくらいの大きさ、白鳥までのおおきさはないが、かなりの大きさである。春、駐車場に車を止めると、すぐ前で、そのカナダガンの家族、夫婦2羽と小さな雛、5羽くらいが草を食べているのである。とてもいい光景である。あるときは道路の端からこういったカナダガンの親子8羽くらいが道路を渡ろうとしていたことがあった。私は車を止めた。反対車線の車も止まった。その家族は数台の車が止まっているのを確認して、よちよちと横断をはじめた。そんなこともあった。ほほえましい光景である。日本でも皇居の「かるがもの親子」の話があるが、あれに近い話である。

 からすは居ない。こちらにきて、あの興ざめな叫び声を聞いたことがないのは幸いだ。逆に日本では聞いたことのない、きれいな小鳥が早朝、歌を歌っていることもあり、とても気持ちがよい。



雪害

 2002年、アメリカに来て、はじめての冬、ニューヨーク地方の大雪を経験した。私は新潟の出身である。だから多少の雪などには驚かない。

 私の家内の実家の十日町市は積雪10メートルという当時の世界記録も持っている。一冬で10回も「雪降ろし」をしなくてはならないのだ。二階の窓から出入りするうちはいいが、そのうちに二階から上に上って「地上」に出るような冬もあったそうだ。私の生まれ故郷も新潟上越の高田である。高田も豪雪地帯である。冬はよく「スキー通学」をすることもあった。ただ、その日本の豪雪地帯も最近は地球温暖化の傾向なのか、異常気象なのか、昔ほど雪は積もらなくなった。

 ニュージャージーで一冬を暮して思ったが、雪が通年にくらべ、多かったそうであるが、私の感じからすれば新潟市内の積雪とほぼ変わりがないと思った。新潟市は海に近い、同じ新潟県でも積雪が少ないほうなのである。

 さて、こちらの積雪対策についてであるが、こちらは生活の移動手段が100%車である。だから、道路から雪をとりのぞくことがとても大切なのだ。こちらは雪が積もり始めると、4WDのトラックがそこ、ここから出動する。前には雪よけがついていて、それで道路の上の雪を道路脇によせながら、何度も何度も何台も走りまわるのである。そして、仕上げは融雪剤を撒く車が出動し、主だった道路に融雪剤(塩)を撒いていく。融雪剤はいいのだが、車両にはよくない。車の足回りが塩でやられてしまう。だから、この辺りの車の寿命は短いし、特別に塩に強い鋼鈑材を使っているらしい。しかし、それにも程度がある。

 道路にも問題がある。先に書いたように雪かきの4WDが走り回るので、一冬あけた道路はでこぼこである。4WD車の先頭についているSCOOPERが道路を掻きむしってしまうからだ。だから雪解けのあとの道路を走るとがたがたと道路の窪みに足を取られることが多い。

 チェーンを巻いて走るということはないらしい。こちらの人に聞いたが、
「そんなことをしたら、道路を傷めているということで、逆に切符をきられるかもしれない。」
そうである。



クリスマスのイルミネーション(シーズンズデコレーション)

 最近は日本でもクリスマスや冬の時期に自分の庭先にペッパーランプを取り付けてデコレーションを施している家が出てきているらしい。だが米国ではそれがポピュラーであって、クリスマスの時期や冬には各家の庭先を思い思いの趣向でデコレーションをしていて、大変きれいである。娘の通うLindbergh Elementary Schoolの近くの子供達が通う辺りの家は、子供達のことを思ってなのか、他の通りより、きれいである。夜通ったときなどはしばらく、車を止めて見とれることもある。ハローウィンなどにもこのような装飾が施される場合が多い。