サンパウロ SAO PAULO |
●11月9日ようやく、ブラジルでのアポイントが取れて、サンパウロに向かう。
3泊4日なので、今回はサンパウロのみの市場調査となる。11月9日の夜遅くに、サンパウロの空港に着いた。ブラジルの通貨は「レアル」。両替をしようと思い、空港内の銀行の窓口やらを探すが、遅いために窓口が閉まっていた。クレジットカードのATMを使用してみるがなにやらポルトガル語でエラーメッセージが出てきて使用できない。 「さて、困った。・・・」 あたりはすでに真っ暗。夜の9時半を過ぎている。 兎に角、ホテルまでに行かなくてはならない。タクシー乗り場でオオサカ・プラザ・ホテルまでいくらかと聞くと、54USドルだという。 ・・・ ポケットを探ってみる。・・・ 52USドル・・・2ドル足らない。・・・ 「どうしよう。・・・」 そうこうするうちに日系人の交通案内係とも思える人が寄ってきた。 日本語で「どうしましたか。?」と聞かれる。 事情を説明すると、しばらくタクシーの運転手と相談をしていた。タクシー組合か何かで融通しあっているのかしれないが、52USドルでよいということになり、一安心。・・・ 兎に角オオサカ・プラザ・ホテルにむかった。高速道路を走る。結構道路はしっかりしている・・・ようだ。 オオサカ・プラザ・ホテルは都心に位置し、経営者も日系人。東洋人街の入口にある。 小さいホテルである。間口は3M位。ただし2階以上は広くなっている。 一泊98USドルである。年配のしっかりした日系の婦人が出てきて日本語で応対してくれた。 さあ・・・兎に角寝よう。・・・
●次の日は特にスケジュールはない。アポなしの日である。自分自身でマーケッティングをしなくてはならない。通訳・道案内も今回はない。 さてどうしよう。・・・ ホテルのカウンターでまず、観光地を探ってみる。 地図を引き出して、英語でいろいろ聞いてみる。 カウンターのお兄ちゃん・・・ 「DANGEROUS!」を連発する。 指差すところ全て「DANGEROUS!」である。 ポルトガル語では観光地のことをDANGEROUSというのだろうか。?・・・ そうではなかった。「観光地はDANGEROUSな所」らしい。 うわさでは聞いていたがこれでは仕方ない。 第1日目はレアル貨を引き出す必要もあるので、ビジネス街であるパウリスタ地区に行くことにした。ここならばビジネス街ということもあり、いくらか治安がいいらしい。 ●ということで、対策としてポシェットと、リュックサックといういでたちで、その日はでかけた。暑かった。気温は30度ちかいだろうか。ホテルのカウンターのお兄ちゃんに聞いたとおりの道順でに東京三菱銀行をめざす。ごみごみとした人通りの多い町並みを歩く。 ひったくりなどの犯罪が多いと聞いているので足早に歩く。と、余計に汗が出てくる。 東京三菱銀行到着。カードが使えるかどうか聞いてみる。英語で尋ねるがどうもわからないらしい。しばらくして現地の人が日系人の女性を連れて戻ってきた。彼女にカードを見せると日本語で 「当銀行ではつかえませんが、CITIBANKなら使えます。」 とCITIBANKの場所を教えてくれた。 CITIBANKでようやくレアル貨を引き出す。 その日はもうそれ以上のスケジュールがないので、パウリスタ近辺を見て歩くことにした。ここパウリスタ地区はビジネス街の中心。広い通りをはさみオフィスビルが建ち並ぶ。 そのあたりに美術館があったのだが、月曜日でお休み中だった。 しかたなくTRIANON公園というところに入った。 ●入ったとたんに「ブラジルに来た」という感じがした。熱帯雨林特有の樹木があたりを暗くするほど繁っている。丁度お昼休みということもありビジネスマンがベンチに掛けて休んでいた。 と、「ピューピュー」という口笛を吹くような鳥の鳴き声が聞こえてきた。 よくジャングルが舞台の映画で聞くような声である。 また樹木の匂いがする。その匂いは日本でかぐような樹木の匂いとは明らかに異なる。 熱帯雨林の樹木の匂いである。 ●と、そろそろお腹がすいてきた。でもどこも英語は通じないようであった。むしろ日本語のできる人を探したほうがはやそうである。 こういう場合安心なのはマクドナルド・世界共通の味だ。公園の近くのマクドナルドに入る。言葉がよくわからないのでカウンターのメニューでフィレオフィッシュのセット(フィレオフィッシュ・ポテト・ドリンク)を指差す。
円に換算すると500円くらいだろうか。大体日本と同程度のようだ。 味も日本のものとそれほど変わらない感じがする。 普段は「こんな画一的な味はやだ・・・!」 と思っているマクドナルドがやたら懐かしく、親しみを感じる。 ●暑さのせいもあるかも知れない。疲れた。 もと来た道をもどり、ホテルに帰ることにした。 30分ほど歩き、ホテルに着いた。 ホテルに入る前に隣の日本書籍屋さんに入った。 日本の雑誌や文庫本などが並んでいる。値段は日本円に直すとやや高い。日本で売られている値の2倍くらいにはなってしまうのではないだろうか。 立ち読みをしていると店の日系人の主人が話かけてきた。 「観光で来られたのですか。?」 私は市場調査のために来たことを告げ、いろいろと話しこんだ。日系一世だそうだ。しばらく話していると、地元の日系人達が出入りしながら声をかけていった。 治安の悪いことを多くの方からいろんな形で注意された。 ある日系一世の方、いわく 「昔は店の前にお金を置いておいたって、盗まれることなんかありゃしなかった。経済的な問題と、地方から悪い動機で都会に出てきているやつがいる。そのためだ。」と嘆いておられた。 私のリュックとポシェットという格好に対してもコメントがあった。 「その格好も万全でないよ。・・・時々後ろを振り返ったほうがいいよ。それとできれば、盗まれるものを持たないほうがもっといいよ。・・・」 とアドバイスをしていただく。 なんか、ブラジルに希望を感じなくなってしまってきた。 でも、最後にそこの老人が言った。 「でも、21世紀はブラジルとアルゼンチンの時代だよ。・・・食糧問題を考えればそれしかないよ。・・・日本なんか問題じゃないよ。・・・」 と笑っていたのが印象的だった。
●まだ日没までには時間があるので近くのカテドラルメトロポリターナ大聖堂まで行くことにした。荷物はすべてホテルの貸金庫に置いて行くことにした。歩いて10分のところにあった。
「セ広場」というサンパウロの中心地の脇に建っていた。見事な大聖堂である。 中にはいると体育館ほどの大きな聖堂があり、50人ほどの信者さんが礼拝堂の椅子にぱらぱらと掛けて、祈りをささげていた。席を立つ人は胸に十字をきざんで、一礼して立ち去ってゆく。香があたりに漂い、また話し声も聞こえない。こんな犯罪都市のど真ん中でこんな場面にお目にかかるのは意外である。 ●次の日は同じくパウリスタ通りにある日本商工会議所の方と、JETROサンパウロ事務所の方とお会いする予定だった。 ここで私は失敗をしてしまった。サンパウロの「夏時間」を計算に入れてなかったのである。 時計をみてまだ1時間は余裕があると思っていたのだが、テレビの時刻表示を見て驚いてしまった。1時間進んでいる。!サンパウロはサマータイムだったのだ。あわてて支度をして出向いた。案の定、丁度1時間遅刻をしてしまった。 兎に角、遅れたことをあやまり、用件を伝えた。よほど治安が悪いのだろう。会う方皆にいろいろと注意された。JETROサンパウロ事務所のビルでは警備が厳しく、ボディチェックとデジタル顔写真をとられた。お会いした方は全て日系人だったので言葉には困らなかった。いろいろサンパウロのことについて伺う。サンパウロの北側には南回帰線が通ってはいるものの、高地にあるため、は東京の蒸し暑さに比べたら夏は過ごしやすいとこのことだった。ただし、その2・3日はめずらしく暑い陽気だった。 ●夕方、ウルグアイにいる友人のために東洋人街で日本の食材を購入しにでかける。この東洋人街の約8割は日本食の食材や雑貨を売っている店で、残りが韓国や中国関係のものだった。日本の食料品などでは和菓子が結構目立つ。きっとおいしいお茶を入れて食べるのではないだろうか。「かつおだし」やお茶などを買った。日本のCDや、ミュージックテープを売っている店もあるが、売っているものにしろ、店のBGMにしろ演歌が圧倒的に多い。三波春雄・村田秀雄・春日八郎・・・古い日本の演歌歌手達。・・・ひとり笑みがこぼれてしまった。・・・ところで、この東洋人街を歩いていたときだった。突然、空が真っ黒になったかと思うとザーッとすさまじい雨が降ってきた・・・というより水が空から落ちてきたと言う方が適当と思われるくらいのすさまじい、スコールがあった。あわてて、近くの雑貨屋に入り雨が上がるのを待った。南米ブラジルならではの天気であった。 ●3日目。飛行機まで少し時間があるので、意を決して、「DANGEROUS地域」=「セントロ地区」に行くことにした。 そのためにはまず絶対に観光客であることを感じさせてはならないので、デジカメも置いてゆき、かばんもポシェットも持たず、ズボンに小銭ちゃらちゃらと「魔除け」(万一恐喝されたときに、ご苦労賃として差出すためのお札)を入れて出発した。服装もそれなりに「整え」、ワイシャツをズボンの上からだらしなく出して、ポケットに手をつっこんで歩いた。これならばどう見ても日系二世か三世である。 ●セントロ地区には日本にちなんだ「お茶の水橋」があり、この周りがサンパウロの中心となり、デパートやショッピングセンターが集まっている。当然、犯罪もこの地域に集中する。そのためか、警官も多い。
デパートにはいってみる。結構、人が入っている。ただし建物は雑居ビルのような感じがする。日本でいえばディスカウントショップのような感じだ。商品も豊富である。質を問わなければ日本にあるものは一応手にはいりそうである。価格は日本のものと比べて同じくらいか、少し高いくらいである。家電は高い。日本の1.5倍から2倍くらいではないだろうか。月賦払いも整っている。¥3000位の陶器セットもちゃんと3回払いが設定されていた。 店員の他にやたらと警備員の姿が目立つ。男子トイレに入るとトーキー(無線機)を持った警備員が二人、後ろ手に立って監視していた。 これでは出るものも出ないではないか。・・・・ ●セントロ地区には公園もあり、例のごとく背丈のある熱帯雨林の樹木と「ピューピュー」という鳥の鳴き声がブラジルに来たという気持ちにさせる。 治安はともかく熱気を感じさせるブラジルだった。・・・ (画像はすべて観光ガイドより) |